太陽光・蓄電池のチラシとは、配った地域の家の人に「近くに相談できる施工店がある」と知らせ、電話・QR コード・地域名の検索から問い合わせを受けるための道具です。反響率に公的な目安はないので、版とエリアを分けて自社で測り、相談 1 件あたりの費用で続けるかを決めます。
この記事の要点
- チラシの役目は、その場で売ることではなく「相談の申し込み」を受けること。反響は電話・QR・検索の 3 つの道から来る
- 反響率は版ごと・地区ごとに電話番号と QR の URL を分けて測る。1 回の配布では判断しない
- 補助金を断定しない、根拠のない値引き前の価格を書かない、自治体のお知らせに見せない。家の人が警戒している言い方を避ける
- 配る地区は、一戸建て・持ち家の多さ、屋根の向き、施工中の現場の近くから選ぶ
太陽光・蓄電池のチラシは何のために配るか
太陽光・蓄電池のチラシは、反響営業の中で「家の人のほうから相談してもらうきっかけ」をつくるために配ります。チラシを見てすぐ契約を決める人はまれで、多くの家の人は、気になったらまず電話をかけるか、QR コードを読むか、会社名や「地域名+蓄電池」で調べてから問い合わせます。

キーワードプランナーで見ると(2026年10月取得・月間の目安)、「太陽光 チラシ」は 140、「蓄電池 チラシ」は 70 で、チラシの作り方を調べているのはおもに施工店・販売店の側です。家の人の側の検索は「蓄電池 補助金」(8,100)のように、補助金や費用の言葉で調べられています。チラシに載せる言葉は、施工店が言いたいことより、家の人が検索で使っている言葉に寄せるほうが伝わります。
配る家を自社で選べる。ネットで調べる習慣の少ない家にも届く。反響が来るまでに時間差がある。
補助金や見積もりを検索している人に出せる。地域・時間・予算を細かく変えられる。
成約しやすいが、件数を自社で増やしにくい。チラシ・広告と組み合わせて回す。
チラシは、Web 広告や紹介の代わりではなく、「地区を自社で選んで届けられる」ところに強みがあります。施工中の現場の近所や、自社の施工が多い地区に、まとめて知らせたいときに向いています。Web 広告の始め方は 太陽光・蓄電池の Web 広告 で扱います。
チラシの反響率は「自社で測る」
チラシの反響率は、業種・地域・配り方・時期で大きく変わり、官公庁などが出している太陽光・蓄電池のチラシの反響率の統計は見当たりません。インターネット上には「0.01〜0.3%」などの数字も出回っていますが、調査の出典が示されていないものがほとんどです。だからこそ、他社の数字に頼らず、自社の配布で測れる形にしてから配ることが、最初の一歩になります。

測る準備は、次の 4 つです。
- 「反響」を決める電話・フォーム・LINE など、問い合わせとして数えるものを先に決める。「チラシを見た」と言われた来店や、その場での質問だけの電話も数えるかを決めておく。
- 版と地区で入り口を分けるチラシの版(中身の違い)と配る地区ごとに、専用の電話番号(転送番号)と QR の URL を分ける。URL には配布の印(例:
?from=flyer&v=a&area=3)を付ける。 - フォームで聞く問い合わせフォームと電話の最初に「何を見てご連絡いただきましたか」を聞き、チラシの番号を答えてもらう。
- 記録表をつける配布日・地区・枚数・版・配り方と、問い合わせ・現地調査・見積もり・契約の数を 1 行ずつ残す。
Primap の広告運用でも、申し込みが「どの素材・どの記事の版」から来たかを、URL に付けた印で追っています。チラシでも同じで、版と地区の印が無いと、反響があっても「どの配布が効いたか」が分からず、次に何を直せばよいか決められません。
反響率と、相談 1 件あたりの費用の出し方は次のとおりです。
| 数字 | 出し方 |
|---|---|
| 反響率 | 問い合わせ数 ÷ 配布枚数 × 100 |
| 相談 1 件あたりの費用 | (印刷費+デザイン費+配布費)÷ 問い合わせ数 |
| 契約 1 件あたりの費用 | 同じ費用 ÷ そのチラシから決まった契約数 反響が来るまで時間差があるので、配布から 2〜3 か月は追う |
計算の例です(数字はすべて計算のための仮の数字で、相場や実績ではありません)。例えば、ある地区に 5,000 枚を配り、印刷・デザイン・配布の費用が合わせて 10 万円、専用番号と QR から 4 件の問い合わせが来たとします。反響率は 4 ÷ 5,000 × 100 = 0.08%、相談 1 件あたりの費用は 10 万円 ÷ 4 件 = 2 万 5,000 円です。
この数字が高いか安いかは、自社で「相談 1 件にかけてよい費用」を先に決めておかないと判断できません。例えば、1 件の契約で残る粗利が 40 万円、相談から契約になるのが 4 件に 1 件、粗利のうち集客に使ってよいのが 2 割と決めたなら、相談 1 件にかけてよい費用は 40 万円 × 1/4 × 0.2 = 2 万円になります。上の例の 2 万 5,000 円はこれを超えているので、そのまま続けず、版か地区を変えて比べます。相談から契約までの各段の数字の取り方は、このガイドの「太陽光・蓄電池営業の KPI」で詳しく扱います。
家の人が知りたいことを載せる
太陽光・蓄電池のチラシには、施工店が言いたいことより、家の人が相談する前に知りたいこと(補助金は使えるか、電気代はどうなるか、停電のときどうか、だいたいいくらか、どこの誰か)を載せます。全部を同じ大きさで並べると何も伝わらないので、主役を 1 つ決めて表面に置き、残りは裏面に回します。

| 面 | 載せること |
|---|---|
| 表面(数秒で分かる) | 誰向けか(例: この地区の戸建てにお住まいの方へ) 主役の 1 つ(停電への備え、電気代、卒FIT 後の使い方など) 相談の申し込み方(電話番号・QR・受付時間)を大きく |
| 裏面(読む人が読む) | 補助金の調べ方と注意書き 費用の考え方(何で金額が変わるか) 申し込みからの流れ(相談→現地調査→見積もり→補助金の申請の手伝い→工事) 会社の所在地・担当者・施工の体制・保証の窓口 |
Primap が蓄電池の広告で決めていることのうち、チラシにもそのまま使える考え方は次の 4 つです。
防災・電気代・補助金を同じ強さで並べず、1 つを主役、残りを補助にする。地区や時期で主役を変えた版を作り、反響で比べる。
「相談したら何が起きるのか」が見えると、問い合わせの壁が下がる。4〜5 段で、各段で家の人がすることを書く。
相談は 50 代以上の家の人が中心になりやすい。本文を大きく、行間を広く取り、細かい文字は注意書きだけにする。
補助金の金額や受付期間は年度で変わる。刷り置きを多くせず、数字の入る場所を版で差し替えられるようにする。
費用は、「◯◯万円〜」の 1 行だけにするより、何で金額が変わるか(容量、屋根の形、分電盤の位置、既に太陽光があるか)を書いたほうが、相談の申し込みにつながりやすくなります。金額を書くなら、その金額で何が含まれるか(機器・工事・申請の手伝い)を同じ所に書きます。補助金そのものの調べ方と案内の仕方は 蓄電池・太陽光の補助金を営業に生かす で扱います。
表示で気をつけること
太陽光・蓄電池のチラシでは、家の人が過去に勧誘で聞いて警戒している言い方を使わず、価格・補助金・会社の立場を正しく書くことが、反響の数より先に守ることです。家の人は、よく似た言い方のチラシを「あのときの勧誘と同じだ」と感じて捨ててしまいます。

国民生活センターは、家庭用蓄電池の勧誘トラブルについて注意を呼びかけ、相談件数が 2016 年度の 325 件から 2020 年度の 1,314 件に増えたと公表しています(国民生活センター「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」2021年6月3日、PIO-NET の登録分)。そこで紹介された事例には、「市から委託された」「国の補助金が出るので安くなる」「この値段は今日限り」「安くできるのはあと 2 件」といった言葉が並んでいます。
チラシで避ける言い方と、代わりの書き方の例です。
| 避ける言い方 | 代わりの書き方 |
|---|---|
| 「補助金で◯◯万円もらえます」 | 「お住まいの市区町村で使える補助金があるか、一緒にお調べします」 +「※補助金には条件があります。受付は予算の上限で終わることがあります」 |
| 「今日限り」「あと◯件」(実際は違う) | 期限や件数を書くのは本当にあるときだけ。その根拠(受付の締め日、施工の枠)も書く |
| 「定価◯◯万円→◯◯万円」(根拠のない元の値段) | 実際に一定期間その値段で売っていた場合だけ比べる。無ければ今の値段だけ書く |
| 「実質 0 円」 | 使うなら、ローンの利用や補助金の交付が条件であることを同じ面に書く |
| 自治体のお知らせに見えるデザイン・「市の事業」と読める書き方 | 会社名を表面に大きく書き、「民間事業者からのご案内です」と入れる |
| 「必ず電気代が下がります」 | 「ご家庭の使い方で変わります。現地調査のあとに、前提を添えてお見積もりします」 |
価格の比べ方について、消費者庁は、比べる元の価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」と言えないときや、メーカー希望小売価格が公表されていないのに「希望小売価格」として比べるときは、不当表示のおそれがあると示しています(消費者庁「二重価格表示」)。迷う表示は、印刷の前に消費者庁の資料を読み、必要なら専門家に確かめます。
チラシから問い合わせを受けて家に伺うときの特定商取引法の扱いは、このガイドの「反響営業と特定商取引法」で扱います。
どこに配るか:地区と配り方の選び方
太陽光・蓄電池のチラシは、配る枚数を増やすより、一戸建ての持ち家が多く、自社が施工に行ける地区に絞るほうが、相談 1 件あたりの費用を抑えやすくなります。地区を選ぶときは、公的な統計で地域の住宅の形を見てから、地図と現地で細かく絞ります。
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の住宅のうち一戸建ては 2,931 万 9 千戸で 52.7%、持ち家は 3,387 万 6 千戸で持ち家住宅率は 60.9% です。一戸建ての割合は都道府県で大きく違い、秋田県が 79.4% でいちばん高く、東京都は共同住宅が 71.6% を占めます(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」)。
この調査には市区町村ごとの集計もあり、同じ県の中でも一戸建て・持ち家の多い市区町村が分かります。そのうえで、配る地区は次の順で絞ります。
- 施工に行ける範囲か(移動の時間と、施工後の点検に通えるか)
- 一戸建ての持ち家がまとまっている地区か(地図で集合住宅の多い区画を外す)
- 屋根の向きと形は合うか(航空写真で南向きの屋根や、影になる建物の有無を見る)
- 太陽光パネルがもう載っている家が多いか(多ければ、太陽光ではなく蓄電池の版を配る)
- 自社の施工中・施工済みの現場の近くか(工事のあいさつと一緒に渡すと、会社の顔が見える)
- 過去に問い合わせや施工が多かった地区か(記録表から選ぶ)
配り方は、届けたい家と手間で選びます。
自社で配るか配布会社に頼む。一戸建てだけ、と指定しやすい。配った地区と枚数の記録を必ずもらう。
手間は少ないが、一戸建てか集合住宅かを選べないことが多い。新聞を取っている家に届く。
枚数は少ないが、会社と担当者の顔が見える。施工のあいさつ回りの紙と分けて作る。
名前が分かる家に、点検や卒FIT の案内として送る。新しい地区には使いにくい。
ポストに「チラシお断り」「投函禁止」などの表示がある家には入れません。配布会社に頼むときも、この表示の家と集合住宅の禁止表示に入れないことを約束してもらいます。チラシには会社名と電話番号に加えて「今後の配布が不要な方はご連絡ください」と書き、連絡があった住所は記録して次の配布から外します。家の人からの苦情は、反響の数字以上に地区での評判を左右します。
チラシと Web をつなぐ
チラシを見た家の人の多くは、電話の前に会社名や「地域名+蓄電池」で検索して、どんな会社かを確かめます。チラシの反響は、検索したときに見つかる情報が整っているかでも変わります。
- 会社名で検索したとき、Googleマップに所在地・営業時間・施工の写真・口コミが出るか
- QR の行き先が、チラシと同じ主役・同じ言葉のページになっているか(トップページに飛ばさない)
- QR の行き先のページから、チラシと同じ電話番号と、短い申し込みフォームに進めるか
- チラシを配る週に、Web 広告でも同じ地区・同じ主役で出しているか
- 電話の受付時間外にかかってきたとき、折り返しの段取りがあるか
地図で見つけてもらうための設定は 施工店の Googleビジネスプロフィール で扱います。チラシを配る地区で、同じ主役の Web 広告を合わせて出すと、チラシで名前を知った人が検索したときにも会社の案内が出るようになります。Primap では、太陽光・蓄電池の施工店向けに、地区と主役を合わせた広告の運用と記事LP の制作を引き受けています(施工店向けの広告運用)。
配った後:比べて直す
チラシは 1 回の配布で良し悪しを決めず、同じ地区に何回か配りながら、版と地区を 1 つずつ変えて比べます。1 回目に反響が少なくても、2 回目・3 回目で会社の名前を覚えてもらってから問い合わせが来ることがあるからです。
- 1 つだけ変える同じ時期に、地区を半分に分けて表面の主役だけが違う 2 つの版を配る。主役と地区を同時に変えると、どちらが効いたか分からない。
- 時間差を待つ配布から数週間〜2〜3 か月は、専用番号と QR の数を追う。検索からの問い合わせは、フォームの「何を見たか」で拾う。
- 契約まで見る問い合わせの数だけでなく、現地調査・見積もり・契約まで進んだ数で比べる。問い合わせは多いのに現地調査が少ない版は、言い方を見直す。
- 残す・止める相談 1 件あたりの費用が、先に決めた「かけてよい費用」に収まる地区と版を残し、収まらないものは止める。
チラシから来た問い合わせは、「チラシを見て少し気になった」くらいの段階の人も多く、最初の連絡の仕方で現地調査に進むかが変わります。最初の電話の台本と追客の間隔は 問い合わせへの初回対応と追客 にまとめています。
よくある質問
太陽光・蓄電池のチラシの反響率はどのくらいが普通ですか
太陽光・蓄電池のチラシの反響率について、官公庁などが出している統計は見当たりません。業種・地域・配り方・時期で大きく変わるので、他社の数字ではなく、版と地区ごとに専用の電話番号と QR を分けて自社で測り、相談 1 件あたりの費用で判断します。
チラシは何枚くらいから配ればよいですか
チラシの枚数は、比べられる数を地区ごとに確保できるかで決めます。最初は施工に行ける範囲で一戸建ての多い地区に絞り、同じ地区に 2〜3 回配れる枚数にしておくと、1 回だけ多く配るよりも判断しやすくなります。
チラシに補助金の金額を書いてもよいですか
補助金の金額を書くこと自体はできますが、受け取れると断定せず、条件があること、予算の上限で受付が終わることがあることを同じ面に書きます。年度で金額や受付期間が変わるので、刷り置きを少なくし、差し替えられる版にしておきます。
ポスティングと新聞折込はどちらが向いていますか
一戸建ての家を選んで届けたいならポスティング、手間を少なくまとめて届けたいなら新聞折込が向いています。新聞折込は一戸建てと集合住宅を分けにくいことが多いので、太陽光・蓄電池では、一戸建てを指定できるポスティングから試し、記録表で比べるのが分かりやすい進め方です。
まとめ
太陽光・蓄電池のチラシは、配った地区の家の人から相談の申し込みを受けるための道具です。版と地区ごとに専用の電話番号と QR を分けて反響を測り、相談 1 件あたりの費用を、先に決めた「かけてよい費用」と比べて続けるかを決めます。チラシには家の人が知りたいことを主役 1 つに絞って載せ、補助金の断定・根拠のない元の値段・自治体に見えるデザインは使いません。配る地区は統計と地図で絞り、チラシを見た人が検索したときに見つかるよう、Googleマップと Web のページも合わせて整えます。
