Google広告 APIで入稿を自動化する手順と決まりごと

Google広告 API とは、Google 広告のキャンペーンや広告の作成、設定の変更、レポートの取得を、管理画面を使わずにプログラムから行うための仕組みです。広告の入稿を API で自動化するなら、毎回ゼロから設定するのではなく、すでに配信している広告の設定を写して素材だけを差し替える形にすると、設定のぶれと入力ミスが大きく減ります。
この記事の要点
- Google広告 API の利用申請は、2026年9月から Google Cloud コンソールで行う形に変わった
- 入稿は「既存広告の設定を写して、素材だけ差し替える」形にする
- 1素材1広告、広告名=素材の番号、リンクに広告名を付けて、素材ごとの成果を追えるようにする
- 文字数・禁止記号は送る前に機械で止め、作るときは停止で作り、入稿後は審査を見張る
この記事では、Primap が Google 広告と Meta 広告の入稿で実際に使っている手順と決まりごとを紹介します。プログラムのコードは載せず、自動化するときに決めておくべきことに絞っています。
Google広告 API でできること
Google広告 API でできることは、管理画面で行う操作の多くをプログラムから行うことです。
Google 広告の公式サイトでは、Google Ads API はレポートのダウンロードやアカウントの一括変更などを行うアプリケーションを作るためのツールで、プログラミング経験のある開発者向けに設計されていると説明されています。広告の運用で使う場面は、大きく3つです。
キャンペーン・広告グループ・広告を、決まった設定で作る。この記事の主題。
日予算の上げ下げ、停止・再開、見出しの差し替え。
費用・クリック・成果を毎日取り出して集計する。
予算の変更を仕組みで回す方法は「広告運用の自動化」、数値の取得からレポートを作る方法は「広告レポートの自動化」で説明しています。ここからは入稿に絞ります。
使い始めるまでの手順(2026年9月からの申請方法)
Google広告 API を使い始める手順は、2026年9月9日に大きく変わりました。検索で見つかる解説記事の多くは、クライアントセンター(MCC)の「API センター」で開発者トークンを申請する以前の手順のままです。
Google for Developers の「開発者トークン」のページでは、開発者トークンは2026年9月9日に廃止され、Google Ads API へのアクセスは Google Cloud コンソールの Google Ads API の概要ページから申し込む形になったと説明されています(出典: Google for Developers「開発者トークン」)。同じページでは、MCC アカウントは API で複数のアカウントをリンクして管理する場合にのみ必要だとも書かれています。
- Google Cloud のプロジェクトを用意するAPI を使うプロジェクトで Google Ads API を有効にする。有効にした時点では、テスト用のアカウントだけを操作できるテストアクセスになる。
- 認証の方法を決める利用者の Google アカウントで許可する OAuth か、サービスアカウントか。アクセスレベルは、認証情報を作ったプロジェクトで決まる。
- 必要なアクセスレベルを申請する本番のアカウントを操作するには、Cloud コンソールの概要ページから上のレベルを申し込む。新しいベーシック・スタンダードの申請にはブランドの確認が要る。
- テストアカウントで動かしてから本番へ作成・変更の処理は、まずテストアカウントで流して確かめる。
アクセスレベルごとの上限は、公式の「アクセスレベル」のページで次のように説明されています(出典: Google for Developers「アクセスレベル」)。
| アクセスレベル | 操作できる範囲と1日の上限 |
|---|---|
| テスト | テストアカウントのみ 1日 15,000 件まで |
| エクスプローラ | テストと本番のアカウント 本番は1日 2,880 件まで。一部のサービス(キーワードプランなど)に制限あり |
| ベーシック | テストと本番のアカウント それぞれ1日 15,000 件まで |
| スタンダード | テストと本番のアカウント 1日の件数の上限なし(サービスごとの制限は別) |
すでに開発者トークンで動いていた仕組みは、廃止前90日間の利用状況をもとにアクセスレベルが Cloud プロジェクトへ自動で移され、既存のコードは変更なしで動くと公式ページに書かれています。ただし、リクエストに付けている開発者トークンのヘッダーは任意で無視されるようになり、将来の大きな版では拒否される予定とされています。古い解説記事の手順で新しく申請しようとしても進まないので、公式ページを確認してから始めてください。
入稿は「既存広告の設定を写して、素材だけ差し替える」
入稿の自動化でいちばん効くのは、新しい広告の設定を毎回考えるのをやめ、同じ案件で配信している広告から写すことです。
Primap では、新しい素材を出すときに、同じ案件で直近に配信していた広告を「流用元」にします。流用元から写すものと、人が決めるものを分けています。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| ターゲティング(地域・年齢・オーディエンス)・配置 | 流用元から写す |
| 最適化の対象にする成果 | 流用元から写す |
| Facebook ページ・Instagram アカウント・リンク先・CTA | 流用元から写す |
| 見出し・本文 | 審査を通った既存の文言を写す 新しく書くのは頼まれたときだけ |
| 日予算・リンク先の入口・停止で作るか | 人が決める 決まっていなければ作る前に担当者に確認する |
流用元は、成果の数で選んでいません。同じ広告セットの広告であれば、ページ・リンク・CTA の設定はどれも同じなので、どれを写しても結果は変わらないからです。
文言を新しく作らないのにも理由があります。テキストだけを変えた広告を増やすと、成果の差が素材によるものか文言によるものか分からなくなります。素材を比べたいときは、素材以外をそろえる。この考え方が入稿の決まりの土台になっています。
1素材1広告と命名で、素材ごとの成果を追える形にする
入稿の命名と計測を決めておくと、配信後に「どの素材が効いたか」をそのまま比べられます。
動画と静止画で記号を分けた連番にする。訴求の種類などは名前に入れない(分類は後から変わるため)。
記事LPや計測ツールの側で、素材ごとに「どこまで読み、申し込んだか」を見られる。
新しい素材のまとまりごとにキャンペーンを作る。停止中・配信中の既存キャンペーンには、指示がない限り足さない。
アカウントに同じ名前の広告がすでにあれば、頭に記号を付けて区別する。
リンク先の URL に付けるパラメータは、スクリプトが自動で付け、人が手で書かないようにしています。パラメータが1つ抜けると、その素材の成果が見えなくなるからです。計測の設計は「マーケティングのダッシュボードと計測の作り方」で紹介しています。
送る前に機械で止める:検索広告の書き方と動画の決まり
入稿のルールは、人が気をつけるのではなく、送る前にスクリプトで止める形にしておくと漏れません。
検索広告(レスポンシブ検索広告)では、見出しと説明文に次のルールを決め、送る前にスクリプトで確かめています。
- 見出し1は検索キーワードそのもの。候補を2〜3本作り、見出し1の位置に固定する
- 見出しは全角15字(30幅)、説明文は全角45字(90幅)まで。全角を2として数える
- 「★」や「!」などの記号を使わない
- 効果・効能を言い切る表現、病名の治療をうたう表現を入れない
- 他社の商標は広告文に入れない(キーワードとして買うのは別)
見出し1にキーワードを入れる「キーワード挿入」は便利ですが、効果をうたう語を含むキーワードの広告グループでは使いません。検索された語がそのまま見出しに出て、審査に落ちる原因になるからです。
動画(YouTube に出す広告)は、出す場所・端末・媒体の自動生成機能を使うか・入札の目標にする成果を、決まりとして先に持っておきます。新しくキャンペーンを作るとアカウントの既定の設定が入ることがあるので、作成後に設定を読み直して決まりどおりかを確かめます。動画素材そのものの作り方は「広告動画の編集をAIで進める方法」で紹介しています。
検証してから、停止で作る
入稿のスクリプトは、いきなり広告を作らず、まず「検証だけ」で動かしてから作る流れにしています。
- 検証だけで動かす写したページ・リンク・本文・見出し・ターゲティング・最適化の対象を一覧で出し、人が確認する。
- 停止で作る指示がない限り、作る状態は「停止」。配信を始めるタイミングは担当者が決める。
- 稼働中のキャンペーンには触らない足すときは新しい広告グループを停止で作り、既存の広告グループには触れない。
- オンにする順番を守る上(キャンペーン)だけをオンにしたいときは、先に下(広告グループ・広告)を止めてから上をオンにする。その間に配信が出ないようにするため。
配信中の広告を書き換えると、もう一度審査に入ります。書き換える前には担当者に確認し、勝手に直さないことにしています。
Meta のマーケティング API で入稿するとき
Meta 広告(Facebook・Instagram)の入稿も、Meta のマーケティング API で同じ考え方で自動化できます(参考: Meta for Developers「マーケティング API」)。Primap の入稿で Meta に固有の決まりは次のとおりです。
| 決まり | 理由 |
|---|---|
| 素材を自動で加工・追加する機能(Advantage+ クリエイティブの各機能・関連メディア)はすべてオフ | 媒体の加工が入ると、成果の差が素材の違いか加工の違いか分からなくなる。クリエイティブは作成後に変えられないので、作るときに入れる |
| スマートフォンで撮った HEVC 形式の動画は、入稿前に一般的な形式(H.264)に変換 | そのままでは扱えないことがある |
| 途中で止まったら、保存しておいた途中結果から再開 | 大きな動画のアップロードは途中で落ちることがある |
| 素材を集めるときは、フォルダの親(どの案件か)まで確認 | 同じ番号のファイルが別のフォルダにもあると、取り違えが起きる |
Meta の API では、管理画面では起きないつまずきもあります。アクセストークンの期限が切れて、ある日から入稿できなくなる。Facebook ページの広告に関する権限が足りず、クリエイティブの作成で止まる。開始日時など作成後に変えられない項目がある。媒体の仕様変更で、以前は使えた設定がエラーになる。Primap では、トークンと権限を誰がいつ更新するかを決め、出たエラーと直し方を手順書に足していくようにしています。
入稿後は審査を見張る
入稿は、審査を通って配信が始まるまでが仕事です。Primap では、Google 広告に入稿したキャンペーンを「見張りの一覧」に登録しています。
- 登録する入稿したキャンペーンや広告を、見張りの一覧に登録する。
- 定期的に確かめる仕組みが審査の状態を定期的に読みに行く。見るのは登録から決めた時間だけ。
- 落ちたら知らせる審査落ち・制限付きになったら社内 BOT がチャットで知らせる。落ちたものが通ったときも知らせる。
- 直して再登録する審査の基準と商品の事実を見て人が直し、入稿し直したらもう一度登録する。
見張る時間を区切っているのは、決めた時間がたっても落ちたままのものは「担当者が直さないと判断したもの」として扱い、通知を出し続けないためです。作成後には、状態・審査・配信面・地域・言語・目標を API で読み直し、案件ごとの作業記録に広告の ID とリンク先を残しています。
よくある質問
Google広告 API を使うのに、MCC アカウントは必要ですか?
Google広告 API を使うだけなら、MCC(クライアントセンター)アカウントは必須ではありません。Google for Developers の説明では、MCC アカウントが必要なのは API で複数のアカウントをリンクして管理する場合だけです。代理店のように複数の広告アカウントを扱うなら用意します。
開発者トークンは、いまどこで申請しますか?
Google広告 API の開発者トークンは2026年9月9日に廃止され、新しく使い始めるときは Google Cloud コンソールの Google Ads API の概要ページからアクセスを申し込みます。API センターのページから始めた申請は処理されないと公式ページに書かれています。
入稿を API で自動化するのは、どんな会社に向いていますか?
広告の入稿を API で自動化するのは、素材の本数が多く、毎週のように入稿がある会社に向いています。月に数本の入稿なら、流用元の広告と命名規則、チェックリストを決めて管理画面で入れるだけでも、ミスはかなり減らせます。
Meta広告の入稿も同じ仕組みでできますか?
Meta 広告の入稿も、Meta のマーケティング API を使えば、既存の広告から設定を写して素材だけ差し替える同じ考え方で自動化できます。ただし、素材の自動加工のオフはクリエイティブの作成時にしか入れられない、トークンとページの権限が切れると止まる、といった Meta に固有の点に気をつけます。
まとめ
- Google広告 API は、入稿・変更・数値の取得をプログラムから行う仕組み。2026年9月から申請は Google Cloud コンソールで行う
- 入稿は既存広告の設定を写して素材だけ差し替え、文言は審査を通ったものを使う
- 1素材1広告、広告名=素材の番号、リンクに広告名で、素材ごとの成果を比べられるようにする
- 文字数・記号・効果表現は送る前に機械で止め、検証してから停止で作る
- Meta は自動加工のオフとトークン・権限に注意。入稿後は審査を見張り、落ちたら人が直す
自社で仕組みを持つ余裕がない場合は、入稿を含めた運用をまとめて任せる方法もあります。Primap の TANTO では、この記事の決まりごとで入稿から運用までを代行しています。


